ブランドは、未来をつくる ― グラムコが考えるBrand Oneの思想 ― #1 ブランドは、存在そのものである

約30年にわたりブランディングに携わってきた取締役の西原が、弊社のブランドメソッド「Brand One」の原点を語ります。企業のアイデンティティを起点に、戦略とクリエイティブをどうつなぎ、選ばれるブランドを育てていくのか。その本質と、時代とともに変化してきたブランディングの価値を紐解きます。

  • 西原行徳(Ikunori Nishihara) / 取締役 ・シニアプランニングディレクター

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「ブランドとは何か」。多くの企業がブランディングに取り組む一方で、その本質を言葉にすることは決して簡単ではありません。 
1997年の入社以来、約30年にわたり弊社で数多くのブランドづくりに携わってきた西原は、「ブランドとは企業や事業、サービスそのもの」だと語ります。本記事では、西原の歩みを振り返りながら、弊社が大切にしてきたBrand Oneの考え方、そして「戦略とクリエイティブをつなぐ」というブランディングの本質について聞きました。 

―― まずは、西原さんのこれまでの歩みについて教えてください。 

西原: 1997年、弊社創業10周年の年に入社しました。当時は「Brand Model」や「Brand One」のような考え方はまだなく、CI(コーポレート・アイデンティティ)の延長線上でブランディングを考えていた時代でした。その頃から部署名や肩書きは変わりましたが、約30年間、一貫してブランディングに携わっています。 
入社当時から企画書では「ブランド」という言葉をよく使っていましたが、明確な手法論があったわけではなく、CIをブランディングと言い換えていたような感覚もありました。入社4年目か5年目ぐらいに「Brand One」が出現し、これを軸にしていくことになりましたが、当初は「何をやればいいのだろう」という手探りの状態でした。 

NISHIHARA

―― 約30年、西原さんから見て、当時のグラムコと現在では、どのような変化がありましたでしょうか?  

西原: 当時は、ブランディングの枠にとどまらず、様々なお仕事をしていました。代理店からチラシ1枚の依頼をいただくこともあれば、弊社会長のネットワークを通じて仕事をいただくこともあり、本当に幅広い案件に取り組んでいました。 
そうした時代を経て、少しずつブランディングへと舵を切り、広告代理店さんとの仕事も増え、徐々に日本を代表する企業のブランディングに携わる機会も増えていきました。今、実績として紹介しているような大きなプロジェクトも、このような積み重ねがあったからこそ実現できたものだと思っています。 

―― 「ブランド」という言葉は広く使われていますが、その意味は企業によってさまざまです。まず、グラムコでは「ブランディング」をどのように捉えているのでしょうか。 

西原: 弊社では、企業や事業、サービスそのものがブランドだと考えています。ブランドの価値や“らしさ”を多くの人に認識してもらい、共感され、選ばれる存在にしていくための、戦略的かつ長期的な取り組みがブランディングです。 
その根底にあるのは、企業や事業のアイデンティティです。他にはない価値を明確にし、それを社会へ伝え、共感してもらう。私は、それがブランディングの本質だと思っています。 

僕らがやるのは戦略とイメージの「橋渡し」 

―― 弊社では、「戦略」と「クリエイティブ」を融合したブランディングを強みとしています。なぜ、この二つを一体で考えることが重要なのでしょうか。 

西原: 企業の中では、経営戦略を考える部署、採用を担当する部署、広報や宣伝を担当する部署など、それぞれ役割が分かれています。でも、外から見れば一つの企業です。部署同士が連携しているかどうかは、外部の人には関係ありません。だからこそ、その間をつなぐ存在が必要なのです。経営戦略、採用、広報、宣伝が別々に動いていると、どうしても間が抜けてしまいます。そこを埋め、つないでいくことが、弊社で言う「戦略とクリエイティブの融合」です。 企業として「こういうイメージを持たれたい」という方向性が決まれば、それを実現するために、どのようなコミュニケーションをすればいいのかまで一貫して設計していく。その結果、「このコミュニケーションは戦略とつながっている」という共通認識が生まれ、クライアントが本当に実現したいことを形にできるのです。 
プロジェクトを進める中で、「これまでうまくいかなかったのは、戦略と実行の間がつながっていなかったからだ」と気づいていただけることもあります。私たちは、その一番重要な部分をつなぐパートナーでありたいと思っています。その思いを込めて、「戦略とクリエイティブの融合」というメッセージを掲げています。

ブランディングソリューション

―― 以前、クライアント企業の方がインタビューで「ブランディングは、なりたい自分になれる手段だ」と話されていました。その時、まさに、戦略を考え、それを実行していく中で、どうすれば“なりたい姿”を社会に伝えられるのかが重要なのだと感じたことを思い出しました。 

西原: 欧米企業には、戦略とクリエイティブをうまくつなげることで、社員の誇りや企業価値を高めている企業がたくさんあります。ブランドに共感した社員がTシャツやキャップを身につける。そうした姿は、日本企業が目指している姿の一つでもあるのではないでしょうか。 
ブランドは単に見た目を整えるのではなく、「この会社っていいよね」「自分たちの会社って誇れるよね」と社員自身が思える状態をつくることが大切です。弊社山田がよく「説得するより魅了せよ」と言っていますが、それも根底では同じ考え方です。人は理屈だけでは動きません。共感し、素敵だ、かっこいいと感じることで初めて行動につながります。そう考えると、日本企業にはまだ大きな伸びしろがあり、もったいないと感じる場面も少なくないです。 

―― もったいないというのは、具体的にどのような点でしょうか。 

西原: 約30年間この仕事をしてきましたが、ブランディングの重要性を十分に理解できていない日本企業がいまだ多く存在することです。 
ただ、この数年で企業のリテラシーは確実に高まっているのも事実です。私たちのようなブランディングパートナーを必要としてくださる企業も増えてきました。以前よりも、より良い形でご一緒できる環境になってきたと感じています。 

―― リテラシーが高まっていると感じるのは、どのような場面でしょうか。 

西原: 以前は、PowerPointの資料や営業ツールのデザインがバラバラでも、それを課題だと考える企業はほとんどありませんでした。しかし今では、「会社としてデザインを統一するのは当たり前」という認識が広がっています。 
例えば、自社のテンプレートが整備されていないことに対して、「えっ、まだないんですか」と驚かれるブランド担当者も増えました。以前は「なぜデザインを統一する必要があるのか」というところから説明しなければなりませんでしたが、今では「統一されているべき」という前提を多くの企業が共有しています。これは、企業のブランディングに対する意識が大きく変わってきた証拠だと感じています。 

デザインは「感覚」ではなく、「意図」で語るもの 

西原: ビジネスパーソンの中には、今でも「デザインはよく分からない」と感じている方が多いと思います。面白いことに、「デザインは分からない」と言いながら、「ここは赤じゃなくて青の方がいいんじゃないですか」といった意見はよくいただきます。(笑) 
もちろん、ご意見をいただくこと自体は大切です。ただ、「なぜ青がいいのか」「なぜ赤ではないのか」という理由までチームで議論されることは少なく、多くの場合は個人の感覚や好みに基づいた意見になってしまっています。 

―― 「何か意見を言わなければ」と思われる方も多いのかもしれませんね。 

西原: そうですね。ただ、もしこちらにデザインの意図を説明できる人がいなければ、「では青にしましょうか」と相手の意見に合わせることになってしまいます。でも、本来は「なぜ赤なのか」「なぜ青ではないのか」を論理的に説明できることが重要なのです。 
例えば、クライアント企業の決裁者から「赤ではなく青にしてほしい」と言われたときでも、その理由をきちんと説明できれば、デザインには明確な意図があることを理解していただけます。逆に、それが説明できなければ、「なんとなくこちらの方がかっこいいから」といった感覚的な話になってしまい、結果としてデザインの価値を十分に伝えられません。 
最近では、弊社のデザイナーがクライアントに直接デザインの意図を説明する場面も増えています。デザインそのものだけではなく、その背景や考え方まで言葉で伝えられること。それが今、クライアントから求められている価値だと思います。 

◇ 
今回のインタビューでは、西原のこれまでの歩みや、弊社が考えるブランディングの本質、「戦略とクリエイティブを融合する」という考え方について伺いました。 
第2回では、企業がブランディングでつまずきやすいポイントや、ブランドを社内に定着させるための考え方、弊社ならではの伴走支援について、具体的な事例を交えながら掘り上げます。 

  • 西原行徳(Ikunori Nishihara)

    西原行徳(Ikunori Nishihara)

    取締役 ・シニアプランニングディレクター

    • 1997

      グラムコ入社

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